今回は、非常にユニークな文化を持つ国の一つとして、
―ブータン―の文化を紹介する。
ブータンは南アジアのヒマラヤ山脈に位置する小国で、その文化は
仏教に深く根付いている。他の国々とは異なり、ブータンは
経済成長よりも国民の幸福を重視することで有名だ。国が掲げる
「国民総幸福量(GNH:GrossNationalHappiness)」
という考え方は、経済指標のGDPよりも人々の幸福や
精神的な充足感に重点を置いている。
GNHは、ブータン政府が国の政策の中心に置く考え方だ。政府は
国民の幸福を測るために、経済成長だけでなく、環境保護や文化の継承、
精神的な発展などを重視している。この理念は、
世界中で注目を集めており、国際的にも一つの
成功モデルとして評価されている。
ブータンは自然保護にも非常に力を入れており、国土の70%以上が
森林に覆われている。政府は、環境保護を国の発展の柱とし、
カーボンネガティブ(炭素排出量よりも吸収量が多い状態)を
維持している世界でも数少ない国の一つだ。これにより、
豊かな生態系が保たれ、動植物の保護が徹底されている。
ブータンの建築様式は独特で、木材と石を使った伝統的な
建物が多く見られる。また、ブータンの男性は
「―ゴ―(Gho)」
女性は
「―キラ―(Kira)」
と呼ばれる伝統的な衣装を日常的に着用している。
これらの衣装は、色鮮やかな布で作られ、地域ごとの
柄や装飾が異なるため、個々の文化的な
アイデンティティを示す役割を果たしている。
ブータンの宗教的な中心地として、
―タクツァン僧院―(タイガー・ネスト)が有名だ。
この僧院は、断崖に建てられた神聖な仏教寺院であり、
ブータン仏教の重要な巡礼地だ。標高3,120メートルの
位置にあり、険しい道を登った先にその美しい姿を見せる。
ブータンでは、仏教に基づいた数多くの祭りが行われている。
特に有名なのが、―ツェチュ祭り―だ。この祭りでは、
仏教の聖人や神々の伝説を基にした舞踊や仮面劇が行われ、
全国の人々が集まり、祈りと共に幸せや健康を願う。
ツェチュは精神的な浄化の機会とされ、ブータン人にとって
非常に重要な行事だ。
ブータンは、経済成長を追い求める世界とは異なり、
―幸福、文化、環境―に焦点を当てたユニークな国家だ。
この独自の文化は、ブータンの人々に強い
アイデンティティと誇りを与え、世界に対しても
新たな価値観を示している。
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